AVの本番行為で逮捕!?法律から見るAV業務の違法行為をAV事務所が語る

撮影の裏側

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AV業界に対して女性の人権保護を訴える声は少なくありません。

業界の中から逮捕者が増えてきていることから、AV業界への取り締まりが、今後、ますます厳しくなっていくことが予想されます。

そのため、プロダクションやメーカーなどAVの業務に関わる全ての方々が、AVの業務に違法性が含まれていないかを改めて考えるべきでしょう。

業界から新たな逮捕者を出さないために、アダルトビデオ(AV)を文化として次の世代に残すためにも、AVの業務に関する法律のリスクマネージメントは必要です。

そこで、AVの業務と法律の関係性を紹介する上で、違法性が含まれる可能性のあるAVの業務内容や、実際に遭った逮捕の事例を紹介していきます。

 

AVの撮影は違法じゃないの?|本番行為と法律の関係性

まず、AV(アダルトビデオ)とは性的なコンテンツを取り扱ったエンターテイメントです。

中でも本番行為は、AVでは目玉のコンテンツになりますが、そもそも本番行為自体が、違法行為にあたるのではないかと、疑問に感じる方もいるでしょう。

 

元々は演技でごまかしていた?

旧来のAVでは、本番行為の撮影は、演技でごまかす(疑似)ことが主流でした。モザイクの技術も発展途上であったため、俳優さん達の演技力次第では、あたかも本番しているかのように見えたからです。

モザイクの技術進化に伴い、演技でごまかすことが難しくなったことから、生身の本番行為が撮影で取り入れられるようになりましたが、同時に本番行為を映像作品に取り入れることへの違法性が問題視されるようになったと言われています。

それに伴い、日本ビデオ倫理協会(現:日本映像倫理審査機構)など、映像作品を審査する様々な機関が発足されました。

 

わいせつ物頒布等の罪に該当しなければ違法ではない?

日本映像倫理審査機関を始め、性表現を含む映像作品が法的に問題視する点は、映像の内容が「わいせつ物頒布等の罪」に該当しているかどうかです。

《引用》

わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

2.有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

引用:刑法175条

つまりはわいせつ物を頒布していない映像であれば、撮影で、生身の本番が行われていても違法ではありません。

実際に、アダルトビデオだけではなく、映画「愛のコリーダ」は、撮影で生身の本番が取り入れられた映画として話題を集めました。

しかし、刑法175条で定める「わいせつ物」の定義は曖昧です。

一昔前までは、女性の陰毛、肛門を露出することが違法であったため、モザイクがかけられていましたが、2017年の現在では合法的に映すことができます(今後、変わっていく可能性は大いにあります)。

 

裏ビデオは合法なのか?

裏ビデオとは、性器にモザイクで修正がかけられていない(無修正)AVのことを指しますが、当然ながら裏ビデオはわいせつ物に該当します。

そのため、裏ビデオの多くは、日本で撮影された映像が、無修正AVが合法である海外を経由して日本で発売されることが主流です。

【関連記事】「AVにおける本番シーンの撮影の裏側をレポート

 

売春防止法に反しないのか?

買春

売春防止法によると対価を得るために、不特定多数の相手とセックスすることは禁止されています。

《引用》

売春防止法2条 この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。

(売春の禁止)

引用:売春防止法2条

そのため、ヘルスやイメクラ、性感エステでは、本番が行われません。ここで、AVにおけるセックスは、売春に該当しないのかという疑問が出てくるでしょう。

売春法で問題になるのは、セックスを提供することで、提供された側からお金を受け取ることです。

AVに出演する俳優さんは、出演料という名目でプロダクションまたはメーカーから金銭を受け取りはしますが、セックスをする女優と男優の間で金銭のやりとりはありません。

そのため、AVでのセックスは売春防止法には違反しないのです。

《引用》

公然わいせつの状況でないかぎり撮影が違法ということはありません。あとは、撮影した映像を販売する場合に、わいせつ物陳列や販売という犯罪となるかであり、モザイクでかろうじて合法とされているのです。

売春防止法は、ソープも含めて、管理売春が禁止されています。売春は男性が金銭支払い女性がセックスと提供すること。処罰されるのは風俗業者です

撮影の金銭の授受は、男女に対する出演料であり、セックスの対価として金銭が支払われているのではなく、管理売春に該当しません。

引用:「AVでは、なんでSEXできるのですか? - 弁護士ドットコム

では、ソープランドにおける本番行為は違法ではないのでしょうか。ソープランドは、あくまで公衆浴場として運営を行っているため、本番行為はあくまで営業外行為です。

そのため、銭湯に来た男性が、女性従業員との両者の合意の元に、本番行為に及んでいるという体裁を保っています。

実際のところ、摘発されているソープランドも少なくないので、法的な面ではグレーゾーンでしょう。

 

違法行為に注目が集まっているのも事実である

以上のことから合法的にAVの撮影をすることができることがわかりましたが、社会からAV業界自体へ厳しい視線が向けられていることには変わりません。

特に出演強要に関して問題視する声が多く、内閣府男女共同参画局では性的被害を訴えるための調査会を開いています(参照:「女性に対する暴力に関する専門調査会 | 内閣府男女共同参画局」)。

現に、スカウト行為や、タレント活動を口実としたAVへの勧誘に対する、取り締まりは厳しくなっています。

参考:「若年層を対象とした性的な暴力の啓発 - 内閣府男女共同参画局

そのことを踏まえて、AV業界全体が内部を見直しする流れにあり、業界の健全化を図る目的で、2017年4月にAV業界改革推進有識者委員会が発足されました。

委員会は、委員会の提示するルールに沿って作られたAVを「適正AV」と定義づけているため、多くのAVプロダクション、AVメーカーが「適正AV」のルールに沿って、AV女優の求人、AVの撮影、販売を行っています。

 

本番行為が違法になったらAV業界はどうなるの?

現状、合法的にアダルトビデオを作成することは可能です。しかし、行政から厳しい目を向けられていることには変わりなく、今後、AV業界へ更なる法律のメスが入るかもしれません。

一部では、本番行為自体が禁止になるのではないかという声もありますが、もし本番行為がAVから取り上げられたら、どうなってしまうのでしょうか。

 

疑似セックスが主流になる

まず、生身のセックスではなく演出としてのセックス、つまりは旧来のAVと同じ方式で撮影が行われることが予想されます。

基本的に、AVに出演する俳優さんには高い演技力は求められませんが、もし疑似でセックスを演出することになれば、女優、男優さん共に高い演技力が求められるようになるでしょう。

参考記事:「AVに演技力は不要?|棒立ちでも高収入を稼げるここだけの秘密

もしくは、アダルトビデオ自体が合法である海外産のアダルトビデオが広く普及するかもしれません。しかし、海外産のアダルトビデオが日本で広く発売されるようになると、国内のお金が海外に流れてしまいます。

いずれにせよ、AVに対して、今後、行政がどのような動きを見せるのかは目が離せません。

 

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罰則に該当する可能性のあるAV関連の業務と実際にあった逮捕事例

ニュース

続いて、AV女優の求人やプロデュース、アダルトビデオの製作など、AVに関わる業務で、刑法に該当する恐れのある業務や、実際にあった逮捕の事例を紹介していきます。

 

強姦罪

アダルトビデオを製作する上で、AV女優の求人活動は欠かせませんが、求人活動の内容によっては強姦罪に該当する可能性があります。

《引用》

刑法177条

暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

引用:刑法177条

2017年3月、出演強要に対して強姦罪が適用されることが決まりましたが、決定を受け、タレント活動を口実に女性をAVに勧誘する行為(準強姦罪に当たる可能性がある)や、出演を拒んだ女性に対して違約金を請求するなどの行為(暴行・脅迫があったとして強姦罪に当たる可能性がある)は、法律で厳しく取り締まりされるようになりました。

参考:「AVへの出演強要に強姦罪を適用 政府が緊急対策 - ライブドアニュース

そのため、プロダクションまたはメーカーは、AVへ出演させる際には、女優さんの意思を最大限に尊重しなければなりません。

実際に、多くのプロダクション、メーカーは撮影までに、女優さんがやりたくない仕事(NGプレイ)について、面接や打ち合わせを通して、繰り返しヒアリングを行っています。

【関連記事】:「お聞かせください!AVに出演する中でやりたくないNGプレイ

 

労働者派遣法

AVプロダクションは、AV女優になりたい女性の求人活動や、アダルトビデオを製作するメーカーへ女優さんを売り出すための営業活動を行っています。

芸能プロダクションや求人サイトに置き換えて考えるとわかりやすいかもしれませんが、端的にお伝えすると、プロダクションの役割は、AV女優とアダルトビデオを製作するメーカーを繋げることです。

応募から撮影までの流れ

先ほど、出演強要の問題を踏まえて、求人活動の在り方が見直されるようになったと説明しましたが、プロダクションの業務内容が法的に問題になっているのは、求人活動だけではありません。

女優さんは、プロダクションを経由してメーカーからお仕事をもらうことになりますが、実はプロダクションが、メーカーから受けたAVの仕事を、女優さんへ振ること自体が問題となっています。

 

プロダクションの業務が違法とされる理由

2016年の6月に、大手AVプロダクションの「マークスジャパン」の経営者が労働者派遣法に反するために、逮捕されました。

《引用》

経営していた芸能事務所に所属していた女性を、実際の性行為を含むアダルトビデオ(AV)の撮影に派遣したとして、警視庁が11日、労働者派遣法違反容疑で、大手AVプロダクション「マークスジャパン」(東京都渋谷区)の40代の元社長ら同社の男3人を逮捕したことが、捜査関係者への取材で分かった。女性が「AV出演を強いられた」と警視庁に相談して発覚した。

 労働者派遣法は実際の行為を含むAVへの出演を「公衆道徳上有害な業務」として規制している。捜査当局が同法を適用して強制捜査に踏み切るのは異例。

(引用:産経ニュース

《引用》

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

第五十八条  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。

引用:労働者派遣法58条

この労働者派遣法58条の条文から読み取るに、マークスジャパンの業務が、労働者派遣法に反する理由は、以下の2点になります。

  • AVの撮影自体が条文の「公衆道徳上有害な業務」に該当している
  • AV女優を労働者派遣している

※過去の判例では撮影が「有害業務」に該当するかどうかは、「撮影時の行為の内容で判断するべき」とされています。

労働者派遣法に反するプロダクションの業務

労働者派遣の定義は、自社で雇用している被雇用者を、他社で働かせることです。

つまりは、プロダクションが、AV女優を、他社(メーカー)の公衆道徳上有害な業務(AVの撮影)に派遣したことが問題となっています。

《引用》

  • プロダクションと女優との関係が雇用契約であれば、プロダクションが女優をメーカー(=制作会社)に派遣する行為は労働者派遣であり、労働者派遣業を行うためには厚生労働大臣の許可が必要である
  • AVへの出演は、職業安定法及び労働者派遣法上の『公衆道徳上有害な業務』に該当するとされ、『募集』(職業安定法第63条第2号)及び『派遣』(労働者派遣法第58条)行為は、処罰の対象となっている

引用:「日本:強要されるアダルトビデオ撮影 ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、 女性・少女に対する人権侵害 調査報告書|国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ

ここで問題となるのが、AV女優がプロダクションから、法的に雇用されているのかどうかで、①プロダクションとAV女優の間で労働契約が結ばれていたのか、または、②プロダクションからAV女優に対して指揮命令があったかどうかで判断するしかありません。

多くのプロダクションでは、指揮命令がなかったことを主張するために、応募から撮影にかけて、女優さんの自主性を最大限、尊重し、女優さんとプロダクションの間では、労働契約ではなくモデル契約や業務委託契約が結ばれます。

参考記事:「大手AVプロダクション社長逮捕、女優との「雇用関係」の有無がポイントに|弁護士ドットコム

 

公然わいせつ罪

作品の内容によって、AVの撮影は野外で行われることがありますが、野外ロケは公然わいせつ罪で逮捕される可能性を含んでいます。

現に、2016年の7月、キャンプ場でアダルトビデオの撮影をしたために、制作会社の役員や女優、男優が逮捕されました。

《引用》

警視庁保安課は8日までに、神奈川県内のキャンプ場の屋外でアダルトビデオ(AV)を撮影したとして、公然わいせつと同ほう助の容疑で、AV制作会社「CA」(東京都港区)の40代男性社長や女優、男優ら52人を書類送検した。

所属していた女性を実際の性行為を含むAV撮影に派遣したとして、大手AVプロダクション「マークスジャパン」の元社長らが逮捕された事件に絡み発覚した。

引用:「キャンプ場でアダルトビデオ撮影、大量52人を書類送検 出演強要事件に絡み|産経ニュース

《引用》

公然わいせつ罪

第一七四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

引用:刑法第一七四条

不特定多数の人が見えるところ(公然)で、AVの撮影をした場合に、公然わいせつ罪として逮捕されます。

制作会社は、レンタル用のキャンプ場を貸し切っていたのに関わらず逮捕されたことから、レンタルスペースであれ一般の人が来る可能性のある場所でAVの撮影を行うと逮捕されるようです。

《引用》

・質問:貸切っていたキャンプ場でAV撮影したことが何故「公然わいせつ罪」になるのでしょうか?

・回答:考えられるのは、誰もが来る可能性がある場所だったからだと思います。

また、AV会社の言い分では「一般の人が来ないように見張りを立てていた」と主張しています。

「来ないように」とあっても、鍵をかけられるような場所ではないなら、実際に来る可能性は否定できないと思います。

引用:「キャンプ場でAV撮影が「公然わいせつ罪」という件について - 弁護士ドットコム

もちろん、野外ロケをしたからといって、必ずしも逮捕されるわけではありません。大手AVメーカーのソフト・オン・デマンドの人気企画であるマジックミラー号は、実際に野外で撮影が行われています。

撮影で使われるマジックミラー号は、SOD社が自ら開発した合法的な露出用の移動スタジオであり、外側から内側から室内を覗くことはできません。

参考:「会社概要|ソフト・オン・デマンド

 

職業安定法違反

出演強要問題をきっかけに、スカウト行為が、職業安定法や迷惑防止条例により厳しく取り締まりされるようになりました。

《引用》

何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

引用:職業安定法44条

職安法44条で禁止されている労働者供給とは、自己が管理・統制する労働者を、他者の指揮・命令の元に就労させることです。

スカウト行為は、労働者供給に該当するため、職安法44条に反するため禁止されています。

しかし、AVプロダクションがAV女優の労働力をメーカーへ斡旋する行為が、労働者供給に該当するのか、または業務委託や職業紹介に該当するのか、その線引きは曖昧です。

違法な求人紹介

「一般財団法人日本職業協会」に寄ると、プロダクションとAV女優の間に主従関係が存在した、または両者の間柄が親密であった場合に、労働者供給と判断されると言われています。

※労働者派遣と供給契約派遣の細かい違いについては「職業紹介、労働者派遣及び労働者供給の相互関係|一般財団法人日本職業協会」を参考にしてください。

参考記事:「性風俗店、キャバクラ、AVの「路上スカウト行為」、法的にアウトな理由|弁護士ドットコム

 

まとめ

今回のコラムを読んでも、どの業務が違法で、合法的に業務を運用するためにはどうすればいいのか、はっきりした答えはわかりません。

それは、AV業界に関する法制度が未開拓であり、法律でAVの業務内容を線引きすることが難しいからです。

実際に、大手AVメーカーのソフト・オン・デマンドでは、顧問弁護士に、自社の業務内容を確認してもらった上で、運用を行なっていると言われています。

今後、また新たにAV業界を取り締まるための法律、法令が施行されるかもしれませんが、安全に事業を遂行するためには、法律の仕組みや性質について理解するべきでしょう。

  • この記事を書いた人

編集担当

【アナザープロ webマーケティング担当】 1990年、神奈川県横浜市生まれ。青山学院大学 物理数理学科 卒業。主に法律、脱毛、金融のメディアのライティング・運用を経て、当サイトのwebマーケティング担当に至る。

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